2010 Fiscal Year Annual Research Report
大規模・複雑なネットワークの特徴を考慮したトラヒックエンジニアリングに関する研究
Project/Area Number |
21700082
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
田村 瞳 九州工業大学, ネットワークデザイン研究センター, 助教 (30423601)
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Keywords | 情報通信工学 / ネットワーク / ベキ乗則 / トラヒック制御 |
Research Abstract |
大規模に発展したインターネットの物理的なトポロジ構造において,その次数(ノードが有するリンク数)がベキ乗則に従うと言われている.次数分布がベキ乗則に従うスケールフリーネットワークは,少数の高次数ノードと大多数の低次数ノードから構成されており,少数の高次数ノードにトラヒックが集中し輻輳状態となって通信品質が低下することが懸念される.本研究では,ネットワーク中の通信資源の効率良い利用によってトラヒック負荷を分散するトラヒックエンジニアリング(TE)に注目し,物理トポロジの特性を考慮した効果的なTE手法の提案と評価を行う.H22年度は,H21年度の調査結果を受け,ノード次数を考慮した経路選択手法を2通り考案した.一方は,任意の2ノード間の複数の最短ホップ経路の中からノード次数を考慮して経路決定を行う方法,もう一方はネットワーク中の一部のリンクにおけるリンクコストを調整することで負荷分散を行う経路決定手法である.前者では,任意の2ノード間のある経路が経由するノード次数を利用してp次ノルムを算出し,p次ノルム最小経路を選択する手法で,スケールフリーネットワーク,特に,BA(Barabasi-Albert)モデルにおいてp=0.33とすることでネットワーク内の負荷を均一化できることを示した.後者の手法では,ネットワーク中の任意のリンクの両端に存在するノード次数が予め与えられた闘値以上となる場合のみ,リンクコストを増加させる手法であり,ネットワーク内の最大負荷リンクの負荷を半分程度に減少できること,および,適切な閾値,リンクコスト設定値について議論を行った.後者については,BAトポロジ以外にも実在のインターネット・サービス・プロバイダのトポロジにおいて,提案手法が負荷分散に効果的であることを示した.以上より,スケールフリーネットワークに適した負荷分散経路制御において次数の利用が有効であることを明らかにした.
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Research Products
(2 results)