2009 Fiscal Year Annual Research Report
近接作用の原理に基づくモバイルアドホックネットワークの自律分散制御技術
Project/Area Number |
21700086
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
高野 知佐 Hiroshima City University, 情報科学研究科, 准教授 (60509058)
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Keywords | 情報システム / 情報通信工学 / 自律分散制御 / 局所相互作用 / モバイルアドホックネットワーク |
Research Abstract |
課題1:Manet経路内トラピック制御技術の確立 有線(超高速)ネットワークを対象にして,物理の近接作用の原理を応用した自律分散制御技術(拡散型フロー制御方式)を検討してきた.本年度は,ネットワーク全体の情報交換が制限されるモバイルアドホックネットワーク(Manet)の制御にこの考え方を応用し,ネットワークの大域的情報を持たないノードが特定のルールで自律動作することによって,スループットの公平性を実現できるかを確認するために,NS2に提案方式を実装した.シミュレーションの結果,有線ネットワークと同様にスループットも安定し,フロー間の公平性を維持する良好な性能が得られることが分かった. 課題2:Manet経路間トラヒック制御技術の確立 本年度は,複数経路間にまたがる負荷分散方式に拡張し,ネットワーク全体の状態を望ましい方向に自律的に導く「経路間トラヒック制御技術」を確立することを目指し,ユーザペアに対して複数経路を設定し,トラヒック負荷をネットワークワイドに平滑化する経路選択アルゴリズムを考察した.自律分散的な平滑化を実現する方式として,来年度も引き続き検討し,実機での検証を行う予定である. 課題3:TCPとの協調制御技術の確立 課題1のNS2シミュレーションプログラムを改造し,性能評価を行った.TCP制御のみの場合,フロー間のスループットが不公平であり,複数のフローがネットワークに入り輻輳が発生すると,あるフローに対してパケットロスが発生し,スループットが減少することがわかった.またDFCとTCPを併用した場合,経路上のノードに滞留するパケットをネットワーク全体に拡散させることでパケットロスを回避するため,各フローのスループットは公平になることがわかり,提案手法の有効性を示した.
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