2009 Fiscal Year Annual Research Report
マルチコアプロセッサ時代における高速データベース処理方式の実現
Project/Area Number |
21700111
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
宮崎 純 Nara Institute of Science and Technology, 情報科学研究科, 准教授 (40293394)
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Keywords | データベース / マルチコアプロセッサ / 情報システム |
Research Abstract |
近年のマルチコアプロセッサの普及により、データベースシステムに代表される、多数のユーザが同時に共有データをアクセスするアプリケーションでは、データの一貫性保持のためのロックやセマフォ等の排他制御の存在が処理性能を落とす原因となっている。これは、ロックやセマフォでは、あるユーザが共有データをアクセスする際に、他のユーザがそのデータをアクセスすることを禁止し、アクセスの完了まで待機させるが、コア数の増加にともない同一データにアクセスする確率、すなわち待機させる確率が高くなるためである。 本研究では、ロックやセマフォではなく、ノンブロッキング同期と呼ばれる新しい排他制御方式を、データベースで最も頻繁にアクセスされるバッファ管理部分に適用するための手法を開発した。ノンブロッキング同期を利用した任意のデータ構造の設計は困難であるが、GCLOCKと呼ばれる既存のバッファ管理手法にうまく適用可能であることを発見し、他のユーザの同一データへのアクセスを待機させることなく、排他制御が正しく行われることを証明した。本手法を64スレッド同時実行可能な計算機に適用して実験を行ったところ、ロックやセマフォでは同時実行スレッド数に対してほとんど性能が延びないのに対し、提案手法では同時実行スレッド数にほぼ比例した処理性能を達成可能であることを明らかにした。さらにデータベースの標準的なベンチマークを利用した実験でも、スレッド数増加による処理性能の低下がなく、高いデータベース処理能力があることを示した。
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