2011 Fiscal Year Annual Research Report
和文かな書体の自動的な特長量抽出と定量的評価の研究
Project/Area Number |
21700113
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
鈴木 俊哉 広島大学, 情報メディア教育研究センター, 助教 (70311545)
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Keywords | フォント / 書体 / 字形 / 電子文書 / 標準化 / 著作権 |
Research Abstract |
最終年度は、第二年度までに得た知見をもとに和文書体分類の実用化に向けた作業として試行標準の開発、またタイプフェイス特定の試験実装、および古漢字の国際標準開発作業に関する提案を進めた。 和文書体分類の試行標準化に際して、主に欧文を意識した既存の書体分類手法を調査したが、その結果、現行のフォントフォーマット国際標準(ISO/IEC14496-22)は参照しているPallose規格との間に齟齬があることが判明し、ISO/IECJTC1/SC34を通じてISO/IEC14496-22規格本体およびこのベースとなっているOpenType標準に対する修正を提案した。同時に、これを用いる電子文書規格ISO/IEC29500の改訂においても仕様の明確化を進めている。また、和文書体分類の整理において、定量的な計測結果が書体の表現に用いられる修飾語とどの程度合致するかを専門家と共に検討したが、同一デザインの書体であっても、他の書体群と組み合わせてファミリを構成した場合の相対的な位置付けによって表現が異なる実例が見つかった。この知見を踏まえ、試行標準化においては本研究の背景である定量的な評価を重視し、修飾語に依存した書体分類を避けることができた。また、漢字字形への適用可能性を検討し、戦前の金属活字と現在のデジタルフォントでとり得る自由度が異なっているため、世代分類が必要であることを明らかにした。これらの成果は情報処理学会試行標準IPSJ-TSOO13:2011に反映された。 さらに、第二年度に技術的な課題として残った、TrueTypeフォントの字形がヒント命令によって変化するために電子文書中の字形の特定が困難であるという問題に関して、TrueTypeフォントのアウトラインを図形的に比較するのではなく、TrueTypeフォントの描画命令そのものを比較する方法を試験的に実装し、さらに描画命令のハッシュ値を用いることで一般公開可能なグリフデータベースが構築可能であることを示した。この技術を用いて過去の古漢字標準化作業の資料を解析し、重複データの存在など様々な問題点の指摘を行った。
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