2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21700129
|
Research Institution | Tsukuba University of Technology |
Principal Investigator |
井上 征矢 筑波技術大学, 産業技術学部, 准教授 (80389717)
|
Keywords | 聴覚障害 / 電光文字表示器 / 視線計測 / 案内サイン |
Research Abstract |
聴覚障害の有無に拘わらず、スクロールされる文章の読みやすい表示スピードは、表示文字数が少ないほど遅いといえ、これまでの研究でも明らかにしている。そこで現在使用されている表示器のスピードの適切さを探るため、国内の交通施設における50箇所の機器の表示を新たに撮影し、表示文字数と表示スピードの関係を分析したところ、全角10文字未満の場合の平均が3.4文字/秒、10~15文字未満で3.3文字/秒、15文字以上で3.5文字/秒と差がなく、充分な配慮なしにスピード設定されている機器が少なくないことが分かった。 また昨年度から行っている、聴覚障害者がスクロール文を読む際の視線の動きを計測する実験(24文章を使用、10文字表示、表示スピードは3.5文字/秒と5文字/秒の2種)を継続し、被験者を増やして分析したところ、聴覚障害者は視線をスクロール方向に移動させながら(引きずられながら)読む傾向が健聴者より強く、特に停車駅案内のような名詞(漢字、地名)の羅列文の場合に差が大きかった。従って聴覚障害者がスクロール文を読む際には健聴者以上の苦労を伴い、健聴者にとって読みやすいスピードでも聴覚障害者にとって必ずしもそうとはいえないこと、また文章の形や内容によっても違いがあること、などが分かった。 最後に聴覚障害者に対して有効な文字の色分け方法を探るため、通常よく使われる「色分けなし」、「キーワードを色分け」に加えて、単語の区切りの明確化を目的とした「主に自立語と付属語で色分け」と「主に自立語と付属語で色分けし、更にキーワードを強調」の計4種の方法で様々な文章を提示し、「文章の正確な読みやすさ」と「意味を把握できる速さ」について聴覚障害者の評価を行ったところ、両評価ともキーワードを色分けした場合が最も高く、スクロール表示に関連が強い「意味を把握できる速さ」の評価は、色分けしない場合が最も低かった。
|