2010 Fiscal Year Annual Research Report
小型映像機器の観察姿勢が画像認知に及ぼす影響に関する研究
Project/Area Number |
21700148
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
菅沼 睦 早稲田大学, 理工学術院, 助教 (50399507)
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Keywords | 感覚・知覚 / 認知心理学 / ヒューマンインタフェース |
Research Abstract |
小型・携帯可能な映像装置(携帯電話の画面,あるいはポータブルゲーム機等:以下,小型映像機器)での映像・画像の認識に関して,視聴時の観察姿勢による画面上の画像の認識への影響が見られることが明らかとなった。 幾何学的錯視図形の錯視量を指標とし,錯視量が観察状況(小型映像機器の観察姿勢,あるいは,画面周囲の視覚環境との一致・不一致など)によって変化するか否かを検証した。その結果,小型映像機器の観察姿勢(前傾姿勢での観察,正対姿勢での観察)に依存した錯視量の差違が認められた。具体的には,画面上の画像が我々に与える距離感が観察時の姿勢,視覚装置の保持の仕方によって歪められることが確認された。この錯視量の差違が何に起因するかを明らかにするため,a)ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を使用し,観察者の観察姿勢のみが変化する実験,b)観察者の姿勢は正対のままとし,画面の周囲の視覚環境を小型映像機器の画面と一致・不一致(画面と画面背後の壁面にあたる視覚情報が一致しているか,互いに異なる角度で提示されているかの違い)させる実験とを行った。その結果,a)の実験では条件間に錯視量の違いは見られなかったが,b)の実験ではそれが認められた。 これは,視覚装置の画面とその周囲の視覚情報(主として壁面や床面の情報)の間での「ずれ」が起因していることを示唆する実験結果も得られた。ヒトは,画面という限定された空間の認識に対しても,周囲の視覚情報を用いて各種の「補正」を行っていると言うことが推察される。
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