Research Abstract |
ヒトの触覚が得意とする「つるつる・ざらざら」といった数μmの微小な凹凸のセンシングや,物体把持のときに重要と考えられる微小な初期滑りのセンシングなど,ヒトの触覚の高機能・高感度な触感覚認識機構を解明し,その認識機構の仕組みをカーボンマイクロコイル(CMC)を用いた触覚センサのセンサ素子の設計・開発に役立て,ヒトの触覚の触覚認識機構を模倣した高機能・高感度な触覚センサを開発することを本研究の目的とする.今年度は,力覚センサとCMCセンサ素子を組み合わせたハイブリッド触覚センサの開発,CMCセンサ素子における10μm以下の微小な機械的変形に対する応答特性,およびセンサ素子に物体を近づけたときのCMC触覚センサの近接覚特性の評価を行った.これら一連の研究により,ヒトの触感覚認識機構を模倣した高機能・高感度なハイブリッド触覚センサシステムを開発した. 本研究では,平面型CMCセンサ素子(縦30mm,横30mm,厚さ3mm)をもつ平面型ハイブリッド触覚センサシステム,およびドーム型CMCセンサ素子(直径16mm,ドーム高さ4mm)と小型力覚センサを組み合わせ,ロボットハンドに搭載可能な指先型ハイブリッド触覚センサシステムを開発した.平面型センサでは,センサ素子を50~125μm圧縮量した場合,その圧縮量を5~10μm程度の誤差で,またそのとき同時に生じた1~9μmの微小変形量を2μm程度の誤差で推定できた.他方,ドーム型センサでは,500~900μm圧縮量した場合,その圧縮量を10μm以下の誤差で,1~9μmの微小変形量を1μm以下の誤差で推定できた.さらに,平面型CMCセンサ素子では,物体とセンサ素子の距離が10mm以下の場合,その距離を1mm以内の誤差で推定できることがわかった.
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