Research Abstract |
本研究は,直感的操作系を可能とする身体動作インタフェースを実現するために,機械の拘束動作を人間動作に近づける近似人間動作の実現法とその評価法を確立する.さらに,身体動作から近似人間動作生成コマンド群へのマッピング方法の考察を行う. 本年度は,身体動作インタフェースのための1.身体動作の分類と2.近似人間動作の実現のための人間動作の計測に重点的に取り組んだ.以下にそれぞれの内容を記す. 1.身体動作の分類の例題として,前年度開発した電動車いすを取り上げ,身体動作インタフェースによる操作を考えた.本システムは,車いすの背もたれに圧力センサを設置し,その圧力センサが身体動作を計測し,車いすを操作する.ユーザは進みたい方向に体を傾けるだけで,車いすを操作することが可能である.しかしながら,背もたれの圧力分布と操作意図は,個人の体型や着衣の状態によって一意に決まらず,曖昧性が残るという問題があった.そのため,自己組織化マップを用いて,圧力分布状態から操作意図を分類することを試みた.実験の結果,7つの身体動作を分類することが可能であることが分かった.この分類結果を用いることで,曖昧性をある程度吸収し,操作性を向上することが出来たと言える. 2.近似人間動作のための人間動作の理解のため,人間が直進し直角に右折する運動を例題に取り上げた.この例題の運動における人間動作の特徴を見出すために,身体部位のどの部分に注目すべきかを検証した.このために,前年度構築したモーションキャプチャシステムを用い,頭,肩,腰,左右の大腿部の姿勢の時間変化を記録した.計測の結果,頭と右大腿部の姿勢が最初に曲がる方向に変化し,次に肩,腰,最後に左大腿部という順に姿勢が変化した.したがって,各部位の姿勢の時間変化には位相差があり,腰の軌道を中心に右大腿・頭部の位相が進み,左大腿部の位相が遅れていることが分かった.このことから,移動における身体動作の中心は腰であることが示唆され,腰の姿勢に注目し,人間動作を分類することが可能であることが考えられた.
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