2010 Fiscal Year Annual Research Report
超指向性音源を用いた局所的スピーチ・プライバシー保護システムの開発と試作
Project/Area Number |
21700238
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
為末 隆弘 山口大学, 大学情報機構, 助教 (00390451)
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Keywords | スピーチ・プライバシー / 指向性音源 / マスキング / 聴取成績 / 心理評価 |
Research Abstract |
オープンプランオフィスなどの開放的空間でスピーチ・プライバシーを保護するためには、一般的に間仕切り等による大がかりな遮音対策と同時に、会話音声を別の音でマスクするといった手法が用いられているが、その設置位置や設置方法によっては、会話音声とマスキング音の到来方向の違いに起因してスピーチ・プライバシーの低下を招く恐れがある。また、会話音声レベルが大きい場合にはマスキング音のレベルも大きくする必要があり、空間内の比較的広い領域にわたってマスキング音が放射されることで遠方の他者にまで不必要な騒音としての影響を及ぼす可能性がある。解放的な空間内においてもスピーチ・プライバシーを局所的かつ効果的にコントロールできる新たなサウンドマスキングシステムの可能性を検討するために、空間内の限られたある特定の領域のみにマスキング音を放射できるような鋭い指向性を有するスピーカについて検討した。超音波による非線型パラメトリックアレイスピーカを用いて、天井からマスキング用雑音を放射した場合も、水平方向からマスキング用雑音を提示する場合と同様に、局所的なプライバシーレベルのコントロールが可能であることを確認した。さらに、スピーチ・プライバシーの程度や満足度を評価するための新たな主観的心理尺度(プライバシー感)の言語表現について、音響心理実験で得られた結果をもとに考察した。その結果、会話の内容が聞き取れるかどうかだけでなく、「何も聞こえない」、「音声であるとわかる」、「音声の抑揚が聞こえる」、「男女の性別がわかる」、「誰が話しているかわかる」といったより詳細なスピーチ・プライバシー評価尺度を構成した。
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