2010 Fiscal Year Annual Research Report
リーダーシップの進化に関する研究:シミュレーション・実験によるアプローチ
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21700248
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
秋山 英三 筑波大学, 大学院・システム情報工学研究科, 教授 (40317300)
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Keywords | 遺伝アルゴリズム / 進化ゲーム / ソフトコンピューティング |
Research Abstract |
人類学の研究は、既知の人間社会の多くにおいて何らかの「リーダーシップ」が存在し、重要な役割を果たしてきた(集団行動の効率化と集団の利益の向上)ことを報告している。また、リーダーシップの形成に関する心理学の実証・実験研究は古くから多数あるが、それらの中でも注目すべきものとして、(i)リーダーの"trait"に着目する一連の研究と(ii)リーダーシップが形成される"situation"に着目する一連の研究がある。本研究の目標は、リーダーシップの進化のメカニズムを解明することである。具体的には、[目的A]どのような戦略がリーダー・フォロワー関係を効率的に構築できるのか、[目的B]どのような戦略がリーダーの立場を安定的に維持できるのか、そして、[目的C]これらの戦略はどのような条件の下で進化するのかを、ゲーム論モデルに基づいた進化シミュレーションにより分析する。平成22年度の研究では、社会構造・個体間のコーディネーション形態の進化に、ゲームの利得構造が与える影響を分析した。個体間のゲーム的相互作用としては、2x2対称ゲームが繰り返される状況を想定した。その結果、まず、ゲームの利得構造によって、(1)個体間の「役割を固定化する」ようなコーディネーション形態の進化と、「(リーダーを頂点とした)階層的社会ネットワーク」の進化が見られた。また、(2)役割を時間軸に沿って交互に交替し続ける「役割交替コーディネーション」の進化と、それをベースとした「平等な社会ネットワーク」の進化が起こり、リーダーシップを中心とした社会構造と逆の構造が支配的になることが示された。
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