2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21700249
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平田 祥人 The University of Tokyo, 生産技術研究所, 特任助教 (40512017)
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Keywords | 複雑系 / 時系列解析 / 信号処理 / 非線形現象 / 非線形理論 |
Research Abstract |
本研究は、リカレンスプロットを用いた時系列データの検定手法を提案することを目的とする。 複雑な現象から観測された時系列データを解析する手法の1つとして、リカレンスプロットが注目されている。これは、時間的に変動するシステムから生成された(非定常)データや、ノイズに汚染されたデータに対してもリカレンスプロットが有効であるためである。また、点過程に対しても、リカレンスプロットを定義できる。しかし、リカレンスプロットに関しては、点のパターンの定量化は進んでいるものの、背後に存在する力学系との関係や点パターンの確率構造・位相幾何学的性質はあまり議論されていない。 そこで、本研究では、リカレンスプロットの点パターンの確率構造・位相幾何学的性質に着目し、背後に存在する力学系の性質を特徴づける検定手法を提案する。特に、本研究は、非定常データ、ノイズに汚染されたデータ、点過程データに対する新しい解析手法を提案するものである。 本年度は、まず、リカレンスプロットを用いて非定常な時系列データから定常な部分を切り出す手法を開発した。そして、時系列が定常という仮定の下で、点の出現確率を用いて、系列相関と周期性の検定手法を提案した。同様の手法を2つのリカレンスプロットに対して用いることで、2つの時系列の同期性を検定する手法を構築した。また、リカレンスプロット中の斜めの線の長さの分布を用いて、線形確率過程と高次元の非線形決定論的過程を区別できることを示した。最後に、リカレンスプロットを用いて、位相推移性、不安定周期軌道の稠密性と、初期値鋭敏性を簡易的に調べる手法をそれぞれ提案した。この3つの手法を用いることで、時系列データのカオス性を特徴づけることができる。
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