Research Abstract |
報告者がすでに提案し,その性能を検証している「摂動項つき最急降下方向を用いたカオス力学系」を,Particle Swarm Optimization(PSO)に導入可能な形にして提案し,その性能を数値実験で検証した.特に,PSOの特徴である,目的関数の微分情報を用いずに求解を行う点が損なわれないよう,仮想的な4次の目的関数を構築し,その関数に摂動項つき再急降下法を適用することで,従来のPSOと同様に大域的最良解と局所的最良解の両方を詳細に探索しつつも,カオス性により局所解にトラップされない力学系を提案した.また,人為的に仮想目的関数を構成することから,理論的なカオス生成条件についても,報告者の既存研究よりも,より厳密な十分条件を示すことができた.さらに,その力学系をPSOで用いる方法として,大域的・局所的最良解間の距離を用いて,ノーマルPSO更新式と提案したカオス力学系を切り替えるモデルを提案し,従来法との比較により,その有効性を検証した.また,パラメータを変化させたときの性能評価も行い,導出したカオス生成条件が,PSOの求解上にも役立つ指標となることを確認した.また,オリジナルPSOの枠組みのもとで,探索空間の情報を生かした・無関係に構築する2種類の近傍モデルを考え,その近傍を用いて,各パーティクルが近傍内の効率的な探索を行うパーティクルを真似る機構を導入し,パラメータ調整を適応的に行うモデルを提案,数値実験での検証により,群知能の特徴を生かしたパラメータ調整方法であることを確認した.また,カオス力学系と併用することが期待できる,マルチスォーム型PSOについて昨年度行った研究結果を,システム制御情報学会学会誌に投稿し,採録された.
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