2009 Fiscal Year Annual Research Report
拡散符号を用いた多重化した電子透かし法の確立と復号アルゴリズムの開発
Project/Area Number |
21700255
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
川村 正樹 Yamaguchi University, 大学院・理工学研究科, 講師 (60314796)
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Keywords | 電子透かし / ベイズ推定 / 情報統計力学 / 画像修復 |
Research Abstract |
本研究の目的は、電子透かし技術をはじめとする情報ハイディング技術に対して、ベイズ最適な復号方式を元に、様々な復号アルゴリズムを提案し、情報統計力学を用いて解析・評価を行うことである。 Cox流のスペクトル拡散型の電子透かしモデルでは、メッセージを拡散し、多重化して埋め込むことができる。この場合、透かし間干渉を生じる。そこで、本研究では、CDMAのマルチユーザ復調モデルを電子透かしモデルに応用し、透かし間干渉を低減するベイズ最適な復号方式を求めた。この復号はNP困難であるため、準最適な復号アルゴリズムを提案した。この成果は、研究会をはじめ国際会議ICITS2009で発表した。 次に、復号時に元画像が利用できない場合の復号アルゴリズムを検討した。電子透かしに対して、それを埋め込む画像自身はノイズとみなされる。この場合、元画像を推定しながら透かし情報を復号する必要がある。そこで、メッセージと元画像の両者をベイズ推定する方法を提案した。その結果、この電子透かしモデルは、CDMAモデルと画像修復モデルからなることを示した。また、画像修復の手法を取り入れた復号アルゴリズムを提案し、単純なフィルタによる画像推定よりも、メッセージのビット誤り率を低減できる場合があることがわかった。これらの成果は、MIH研究会等で研究発表を行った。 以上より、透かし間干渉を低減し、元画像推定も行う復号アルゴリズムが提案でき、従来法よりも、ビット誤り率を低くする手法が提案できた。 科研費特定領域研究「情報統計力学の深化と展開」(DEX-SMI)等のチュートリアル講演会やセミナーで、本研究について講演を行い、研究成果の普及に努めた。
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