2010 Fiscal Year Annual Research Report
拡散符号を用いた多重化した電子透かし法の確立と復号アルゴリズムの開発
Project/Area Number |
21700255
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
川村 正樹 山口大学, 大学院・理工学研究科, 講師 (60314796)
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Keywords | 電子透かし / ベイズ推定 / 情報統計力学 / 画像修復 / ガウス仮定 |
Research Abstract |
本研究の目的は、電子透かし技術をはじめとする情報ハイディング技術に対して、ベイズ最適な復号方式を元に、様々な復号アルゴリズムを提案し、情報統計力学を用いて解析・評価を行うことである。 これまでに、決定論的な復号アルゴリズムを用い、かつ、離散時間同期のダイナミクスを用いた復号方法を提案し、その性能を評価してきた。この成果は、論文誌LNCSに出版されている。 本年度では、確率を導入したアルゴリズムを検討した。一般的に最適化問題では、確率を用いた方が最適解を得られやすい。提案手法においても、決定論的な従来のアルゴリズムより、より良い復号が可能であった。さらに、非同期ダイナミクスを導入し、振動解が出現することを抑えることを検討した。その結果、同期ダイナミクスに比べ、かなり良い性能を得ることができた。このように、様々な復号方法を検討し、より良いアルゴリズムを開発している。これらの成果は、電子情報通信学会MIH研究会などで研究発表を行っている。 また、理論評価する際には、ノイズ(攻撃)がガウス分布に従うと仮定する。しかしながら、実際の画像を用いた場合、必ずしもガウス仮定が成り立つかどうかは自明ではない。そこで、様々な拡散符号長に対してガウス性を検定し、この仮定の成立条件を検討した。この成果は、電子情報通信学会MIH研究会などで研究発表を行っている。 次に、元画像が未知の場合の復号問題に対して、性能評価を情報統計力学の理論であるSCSNAとレプリカ法により行った。 レプリカ法によるオーダーパラメータ方程式の導出を行い、SCSNAより求められる方程式と比較検討した。この成果は、3月に物理学会で発表する予定であったが、震災により、予稿集による発表のみとなった。
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