2009 Fiscal Year Annual Research Report
複素ネットワークインバージョンによる不良設定逆問題の解法に関する研究
Project/Area Number |
21700260
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Research Institution | Takushoku University |
Principal Investigator |
小川 毅彦 Takushoku University, 工学部, 准教授 (50297090)
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Keywords | 逆問題 / 複素数 / ニューラルネットワーク / ネットワークインバージョン / 不良設定性 / 正則化法 |
Research Abstract |
本研究は,複素領域に拡張された逆問題解法の1つである複素ネットワークインバージョン法の,不良設定逆問題に対する適用可能性の検討を目的としている.本年度は,基本的な例題として複素写像逆推定問題に対し,解の存在性,一意性,安定性に分けてそれぞれ定量的な検討を行った.また,関連研究として実数型ネットワークインバージョン法の,不良設定逆運動学問題への適用可能性の検討を行い,結果を学会で発表するとともに雑誌論文に投稿中である.実数型と複素型の違いはあるが,不良設定問題に対する適用可能性の検討という点で共通点があり,逆問題解法ニューラルネットワークに対する汎用的な検討法の確立という点で有効である. また,複素ネットワークインバージョン法の実際の問題への応用として,位相情報が重要となる画像や波形のモデル化や逆推定の問題への適用の検討を行っている.本年度は,生体計測分野の研究テーマである神経誘発電位モデルの逆推定問題への適用を考え,生体データ収録・解析システムを導入して神経誘発電位波形の計測データの収集を行っている.今後,ネットワーク構成や前処理法を検討し,計測データによるシミュレーションを行うことを予定している.また,画像処理に関する関連研究として実数型ニューラルネットワークによる衝撃貫通画像処理の検討について著書にまとめた.今後,複素領域に拡張された逆問題としてこの関連研究を展開していくことを予定している. 以上のように,本年度は複素ネットワークインバージョン法による不良設定逆問題解法についての基礎的検討を中心に,実際の問題への応用に関わる関連研究を含めて検討を行い成果を得た.次年度以降は,実際の問題への適用および不良設定性の検討を行う.
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