2009 Fiscal Year Annual Research Report
一次視覚野情報からの視覚画像推定に付随する欠損値に関する研究
Project/Area Number |
21700263
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
井上 真郷 Waseda University, 理工学術院, 准教授 (70376953)
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Keywords | 確率的情報処理 / 画像情報処理 |
Research Abstract |
脳の1次視覚野の活動情報が計測できたという前提で,その時に被験者が見ているもの(視覚画像)を推定するアルゴリズムの開発に取り組んだ. まず,1次視覚野の各ニューロン群は特定の傾きの輪郭のみに対応しているため,全域にわたって全ての傾き情報が手に入るという従来手法を改善し,一部位について特定の傾き以外の情報は欠損しているというデータを扱えるように改善した.この問題に対しては,当初想定していたEMアルゴリズムは上手く定式化できず,確率の周辺化手法で上手く扱えることが分かった.また,このアプローチでは計算量が高次の多項式となるため,Fourier変換を経由する近似手法を開発して計算量の削減を図った. 次に,輪郭抽出のモデルに用いているGaborフィルタの複素数の出力に関して研究した.欠損値が実数成分,虚数成分という場合は,上記の確率の周辺化手法がやはり有効であることが分かった.しかし,欠損値が絶対値成分,偏角成分という場合は,依然難しい問題であり,解けていない.実際の計測データは後者のタイプに相当すると思われる為,引き続きこの問題には取り組む必要があると考える. また一方,視覚画像推定問題は,近年著しく進展している超解像問題と相性が良いことが分かり,こちらの問題にも並行して取り組んだ.これにより特に,原画像として想定している画像に対してラインプロセスを取り込めること,また,推定手法に変分Bayes法を用いることでより複雑なモデルにも対応可能となること,などの利点があった.推定精度についてはまだ未評価であるが,向上することが見込まれる.
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