Research Abstract |
脳の1次視覚野の活動情報が計測できたという前提で,その時に被験者が見ているもの(視覚画像)を推定するアルゴリズムの開発に取り組んだ.具体的には,一昨年度の研究より,視覚画像推定問題は,近年著しく進展している超解像問題と本質的に同等ということが分かったため,量・質共に先行研究が充実している当該分野の研究に取り組んだ. まず,昨年度開発した手法に関して,論文投稿を行い,本分野で最も権威のある雑誌の一つであるIEEE Transactions on Image Processingにアクセブトされた., また,昨年度画像に関する事前確率モデルとして,計算の点で扱い易い因果的ガウス-マルコフ確率場を採用したところを,本年度はこれを,伝統的に使われているより実視覚に近い複層ガウス-マルコフ確率場に拡張した.これにより,超解像の精度を部分的に更に向上させることに成功した.本結果は,IEEE International Conference on Acoustics,Speech,and Signal Processing(ICASSP2012)にて口頭発表した. また,画像の輪郭を表すモデルとして,これまで採用してきたラインプロセスの他に,各ピクセル毎に領域ラベルを付けるモデルがあるが,これを新たに導入した.上記の複層ガウス-マルコフ確率場と組み合わせて画像推定に応用したところ,画像の領域分割を従来手法よりもより正確に行え,それに伴って画像自体の推定精度も向上させることができることを確認した. 上記以外に,手法において関連のある確率的情報処理に関するいくつかのテーマ,カーネルマシンによるMultiple Instanc Learning問題へのアプローチ,制約充足問題の相転移現象の可視化,などに取り組み,計6件の学会発表を行った.
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