2009 Fiscal Year Annual Research Report
3次元デジタルアーカイブを目的とした美術品の分光ベース光反射モデルの構築
Project/Area Number |
21700270
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Research Institution | Nagano University |
Principal Investigator |
田中 法博 Nagano University, 企業情報学部, 教授 (90387415)
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Keywords | デジタルアーカイブ / 3DCG / 画像計測 / 反射モデル / 文化財 |
Research Abstract |
本年度は交付申請書に記載した「研究実施計画」に従い,基本反射モデルを構築するために,画像計測部をマルチバンド化した計測システムを試作し,そこから物体表面の反射特性を推定する手法を開発した.また,ここで開発した手法を用いて,プラスチック物体等,単純な物体をはじめ,最初の美術品への試みとして長野県坂城町の国宝級の日本刀を対象として3次元デジタルアーカイブを試みた.ここでは「照明環境や計測システムの特性に依存しない日本刀の3DCG再現」が可能となった.このことから刻一刻と変化する照明環境に対して日本刀を光沢も含めて3DCG再現できるようになった. 本研究の意義で最も重要な点は,高精度な美術品の光反射モデルを構築するための手法が,3次元デジタルアーカイブのみならず様々な分野の技術的基盤となり得ることである.本年度はまだ基本的な光反射モデルしか構築していないが,反射モデル構築について来年度以降の研究の方向性を示すことができた.次に重要となる本研究の意義は反射モデルに基づいた画像解析手法により,これまで定量化されなかった様々な物体の表面状態が明らかになるだけでなく,これまで推定が困難であった複雑な反射特性を持つ物体に対して画像解析をするための効果的な手法の一つを提案できる可能性を示したことである. 本年度の研究成果に関しては,一般的な不均質誘電体(プラスチックや塗料等)と金属物体に対する分光ベースの光反射モデルに基づいた3次元デジタルアーカイブにおける最初の研究成果を日本感性工学会に学術論文を提出した.そして,長野県坂城町の日本1刀のデジタルアーカイブを開始し,光反射モデルに基づいてその視覚的情報を定量的なデータとして記録することができた.その最初の成果は国際会議(IASDR2009)で発表した.また,まだ学術論文になっていない段階ではあるが,より複雑な反射モデルに基づいた物体表面反射特性推定の試みをはじめており,その最初の成果はいくつかの学会で口頭発表を行った.
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Research Products
(8 results)