2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21700283
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
橋爪 寛 東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (60506640)
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Keywords | 脳・神経 / 認知科学 / 音声学 / 小児 / 発達 |
Research Abstract |
本研究の目的は、6歳から18歳の健常な小児を対象にく外国語学習に重要となる外国語音声の模倣に関与する神経基盤、および小児の発達によってそれらがどのように変化するのかを、fMRIを用いて明らかにすることである。 この目的を達成するために、研究実施計画に基づき、本年度は、研究課題1および2に関して得られた結果を、国際科学雑誌へ投稿するため論文としてまとめた(5月中に投稿予定)。ここで初めて明らかになったことは、左下前頭回弁蓋部の外国語音声模倣中の脳活動と年齢の間に有意な正相関を呈することである。また、外国語音声模倣の巧さが年齢とともに向上したことは、先行研究の結果と一致する。左下前頭回弁蓋部は、成人が外国語音声模倣を行う際に、新奇な言語音のモータプランニングにおいて重要な役割を持つ領域であることが知られている。また小児の脳の発達において、比較的に遅くに成熟する領域でもある。以上のことより、新奇な言語音のような複雑な発話のモータプランニングを担う領域の発達によって、即時の外国語音声模倣の能力が年齢とともに向上したと考えられる。このことは、外国語学習の初期に重要となる外国語音声の発音学習の適切な時期を考える際の基礎的なデータを提供するという意味で重要である。 また、研究実施計画に基づき、3年間の縦断研究を開始した。同じ被験者に再度同じfMRI実験を行うことで、個人差を考慮することによって、より良い感度で脳活動の発達的変化を捉えられると考えられる。また、脳活動の変化が、3年間の間における英語教育の違いや音楽経験といった環境の違いによって影響を受けるのか(研究課題3)が明らかになると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年の東日本大震災の影響で、研究の進度に多少の遅れがあったが、幸い研究計画の目標(前年度までの結果を論文としてまとめ、縦断研究をスタートする)はほぼ達成できたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の変更あるいは研究を遂行する上での大きな問題点はないため、当初の研究計画に従って、1回目のfMRI実験と同様に2回目のfMRI実験を行い(縦断研究)、外国語音声模倣の際の脳活動、および外国語音声の模倣能力の年齢の変化の関係を調べ、その結果を国際学会および国際科学雑誌に投稿を行う予定である。
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