2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21700284
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
齋藤 慈子 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教 (00415572)
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Keywords | 霊長類 / 社会学習 / マーモセット / オキシトシン |
Research Abstract |
社会性はヒトが適応的に行動していく上で重要な特性であるが、その一側面である社会的認知が、オキシトシンという神経ペプチドと関わっていることがわかってきており、ヒトを対象とした研究も近年数を増やしている。しかし、まだヒトを含め霊長類でのメカニズムの理解は不十分である。本研究は、家族で群を形成し、母親だけでなく、父親、兄姉個体も子育てに参加する、小型霊長類のコモンマーモセットを対象とする。その特性を生かして、子がさまざまな知識を獲得していく過程で、家族内の個体がどのように影響を与えるかを、行動だけでなくオキシトシンを含めた内分泌学的側面も同時に調べることにより、社会的なサポートがどのような意味をもって子の学習を促進しているのかを明らかにすることが本研究の目的である。 昨年度は子と家族のうちの1個体を対にして、新奇食物を呈示する実験をおこない、父親と母親の行動が幼児の新奇餌への接近を促していることを示したが、本年度は、市販のオキシトシン測定用EIAキットを用い、マーモセット尿中のオキシトシン濃度測定系を立ち上げ、その妥当性を検討した。乳幼児がいる母親個体と単独飼育メス個体から採尿し、尿中のオキシトシン量を比較したが、群間に差はみられなかった。また、妊娠中~出産後の繁殖ペアより採尿をおこないオキシトシン量の測定をおこなったところ、メスでは出産当日にピークを示し、出産前よりも出産後で値が高い傾向がみられた。また、オスでは前後で変化がみられなかった。これらの結果から、オキシトシン測定の生物学的妥当性の一側面も検討できたと考えられる。今後この測定系を用いて、子の学習場面における尿中オキシトシン濃度を測定する。
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Research Products
(2 results)