2011 Fiscal Year Annual Research Report
3次元顔画像を用いた表情認知構造のフラクタル性およびスケールフリー性の検討
Project/Area Number |
21700292
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
竹原 卓真 同志社大学, 心理学部, 准教授 (10347742)
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Keywords | 表情認知構造 / フラクタル次元 / 複雑系 / スケールフリー / ネットワーク |
Research Abstract |
平成23年度では、3次元顔による表情認知構造のネットワーク構築およびスケールフリー性の検証と、角度を設定した表情認知構造のフラクタル性の検証実験を行なった。表情認知構造を一種のネットワークと捉えることにより、どの表情がハブとなるのかや各表情間のリンク状況を詳細に把握できるようになり、フラクタル性の実験では角度を伴う表情認知構造の定量的側面が明らかとなった。いずれも、これまで蓄積されてきた表情認知研究に新たな知見を追加する、有意義なものであった。まず、3次元顔を用いたネットワーク構築の研究では、顔画像をコンピュータ上に提示し、一対比較法を用いて類似度評価させ、視覚的にネットワーク構造をモデル化し、ノード間の平均距離やリンクの強さを測定した。その結果は現在解析中であるが、従来想定されてきたような一様なネットワークにならず、どうやらべき分布に従うスケールフリー性が出現しているようである。一方、表情認知構造のフラクタル性の実証実験では、4種類の回転条件下におけるフラクタル次元は従来通り正確に算出できたものの、条件間の平均フラクタル次元は統計的に有意であるとはいえなかった。データをつぶさに確認すると、従来の実験とは異なり評定値の分散が非常に大きいことが判明した。この理由は現在のところ分からないが、あと少し被験者を追加募集すれば、安定したデータが得られる可能性が高い。一連の研究を要約すると、表情認知構造のフラクタル性が確認されたことは重要な基礎的結果であり、ネットワークのトポロジーが予測通りに明らかになりつつあるため、今後の表情研究の進展に大きく貢献していると考えられるだろう。なお、関連論文を英文ジャーナルに投稿しており、現在修正採択までこぎつけている。
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Research Products
(2 results)