2011 Fiscal Year Annual Research Report
信頼性を重視した大規模変数次元小標本因果ネットワーク推定法の開発
Project/Area Number |
21700302
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
清水 昌平 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (10509871)
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Keywords | 統計的因果推論 / 構造方程式モデル / 独立成分分析 / 因果構造探索 |
Research Abstract |
本研究課題の目的は、バイオインフォマティクスにおける遺伝子発現データのような大規模変数次元データから、因果ネットワークに関する有用な情報を信頼性高く推定する統計解析法を研究開発することである。本年度は、初年度および昨年度に開発した因果ネットワーク探索法をさらに発展させ、成果をいくつかの雑誌論文にまとめた。主な成果は次のとおりである: 1.まず、因果構造ネットワークにおいて根本原因にあたる変数である外生変数を同定する方法を開発した。そして、それを変数次元よりサンプルサイズが少ないバイオインフォマティクスの遺伝子発現データに適用して方法論の検証を行い、興味深い結果を得た。 2.次に、1の外生変数を同定する方法を発展させ、因果構造ネットワーク全体あるいは部分因果ネットワークを推定するためのフレームワークを構築した。社会学の学歴データに適用し、推定法の性能の検証を行い、有望な結果を得た。現在、遺伝子発現データでも検証中である。 3.また、2の推定法を拡張し、多母集団の同時分析を行うためのモデルを開発した。まだ基本的なモデルであるが、大きく性能が向上することを数値実験で確認した。今後の発展が期待される。特に、複数の実験条件の遺伝子発現データを効果的に結合させて推定の精度を高めたり、モデル仮定の崩れの検出力を高めたりすることができるだろう。また、複数の被験者の脳活動計測データから脳領域の因果ネットワークを推定する問題にも、同じアイデアが適用可能である。 これらの結果を基に、情報統計力学の最前線-情報と揺らぎの制御の物理学を目指して-にて招待講演を行った。
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Research Products
(13 results)