2011 Fiscal Year Annual Research Report
損失関数の対称性の破れが推定方式の許容性に与える影響について
Project/Area Number |
21700309
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
田中 秀和 大阪府立大学, 高等教育推進機構, 講師 (50302344)
|
Keywords | 統計科学 / 許容性 / 一般化Bayes推定量 / 点推定 / LINEX損失関数 / 2次漸近許容性 |
Research Abstract |
ロジスティックモデルは,二値データの統計分析手法で最も広く使われる手法である.このモデルにおいて最尤推定量(以下MLE)と最小ロジット・カイ2乗推定量(MLCSE)のどちらが良いかという問題は,Berkson's bioassay問題と呼ばれていて,古くから議論されてきた.Ghosh and Sinha(1981)は2次漸近許容性の概念を提案し,この観点からこの問題の解決を試みた.まず,彼らは一般的な1母数の設定において,2乗誤差損失関数の下,修正MLEが2次漸近許容的となるための必要十分条件を導出した.特に,ロジスティックモデルにおいて,彼らは,MLEは常に2次漸近非許容的であり,ラオ・ブラックウェル化MLCSEはdoseが4以上のとき,またそのときに限り2次漸近許容的となることを示した.しかしながら,多母数ロジスティックモデルにおけるこれらの推定量の2次漸近許容性についてはよくわかっていなかった.昨年度の研究代表者らの研究では,2母数分布の一般的な設定において,規準化された2乗誤差損失関数の下,修正MLEが2次漸近許容的となるための条件について考察し,この結果を用いてMLEは常に2次漸近非許容的であり,ラオ・ブラックウェル化MLCSEはdoseが6以上のとき,またそのときに限り2次漸近許容的となることを示すことができた.そこで,本年度は昨年度の結果を3母数以上の場合に拡張した.結果としては,MLEは常に2次漸近非許容的であり,ラオ・ブラックウェル化MLCSEはdoseが2p+1以下のとき2次漸近非許容的であり,doseが4p-3以上のとき2次漸近許容的であることがわかった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の核になる部分、すなわち、推定方式が2次漸近許容的となるための必要十分条件の導出ができていないため、その他の結果が中途半端になっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
具体的な場合について考察し、理論の一般化を図る。
|