2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21700322
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
関 安孝 岩手医科大学, 薬学部, 講師 (30377220)
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Keywords | 天然解鎖蛋白質 / 溶液X線散乱法 / 分子シミュレーション |
Research Abstract |
鎖が解けた状態の蛋白質(解鎖蛋白質)の構造的特徴を解析するために,ランダムコイル鎖の分子モデリング法を新たに開発した。分子モデリング法において,信頼度の高い構造を得るためには,原子間衝突の解消または回避が必須である。しかし,これには長い計算時間が必要なため,広い構造空間をサンプリングする妨げとなる。本モデリング法は,この問題を解決するための2つの特徴を有する。1つは,蛋白質の立体構造データベースから抽出した主鎖2面角確率頻度分布をモデリングに利用することである。主鎖2面角頻度分布を使うことで,アミノ酸残基内の原子衝突を自動的に回避することが出来る。もう1つは,アミノ酸配列上の任意の残基から,N末端側,C末端側に交互に残基を付加させながら,原子衝突のない構造を生成するアルゴリズムである。この新たに考案したアルゴリズムによって,原子間衝突の有無の調査時間と原子間の衝突発生時の構造再構築の計算時間を最小に抑えることが可能となった。本モデリング法は,この2つの特徴により,原子間衝突のない構造を極めて短時間に生成することが出来る。更に本法で得られる構造は,少ないステップ数で近傍のエネルギー極小構造に達する,信頼度の高い構造であることが確かめられた。従って本法は,分子シミュレーションの初期座標や原子座標に基づく各種実験の予測などに有効に利用出来ると期待される。本研究では,本モデリング法の有用性を確認するため,変性剤変性状態の蛋白質の構造特性解析を行った。平均自乗半径の残基数依存性,及び溶液X線散乱の角度依存性について実験値と比較し,変性剤変性状態の構造解析が可能なことを確かめた。
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Research Products
(3 results)