2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21700328
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
舟橋 啓 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (70324548)
|
Keywords | システムバイオロジー / 生化学ネットワーク / 生化学シミュレータ / 確率モデルシミュレーション / 生体生命情報学 |
Research Abstract |
今年度は、空間モデル記述のために仕様拡張されたSBMLの取り扱い、及び偏微分方程式ソルバの高速化、及び精度向上に焦点を当て、実装を行った。上記仕様拡張されたSBMLをシミュレータで利用する際に、昨年度までは独自に実装を行ったAPI群(ライブラリ)を利用していたが、今年度は標準化されたライブラリであるlibsBML-5.1を利用するよう実装を変更した。これにより、標準化の策定に伴うAPIの変更に迅速に対応することが可能となった。また、昨年度の実装では二次元移流拡散反応モデルのシミュレーションは可能であったが、(1)シミュレーション時間が膨大になる、(2)移流シミュレーションの精度、(3)三次元の空間モデルに非対応といった問題点があったため、これらの対応を優先的に行った。(1)シミュレーションの高速化に対しては、反応方程式の数値積分を行う際に抽象構文木(AST:Abstract Syntax Tree)の形式で表された数式を再帰的に評価することで計算を行なっていた実装を、逆ポーランド記法を用いて数式の計算を行うよう実装を変更し、プログラミング言語をJavaからC++に変更することで約7倍の高速化を達成した。また、(2)移流シミュレーションの精度向上に対しては、風上差分法からCIP法(Cubic-Interpolated Pseudo-particle Method)を用いることにより値の減衰を防ぎ、精度の向上を達成した。上記高速化、精度向上と並行して(3)三次元反応拡散モデルのシミュレーションへの対応も行った。今年度の実装により、空間モデルシミュレータの骨格となる実装はほぼ完了した。
|