2011 Fiscal Year Annual Research Report
環境に適応するための脳型学習法・暗黙学習の未知物体との接触動作への応用
Project/Area Number |
21700337
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
下田 真吾 独立行政法人理化学研究所, 自立行動制御連携ユニット, 連携ユニットリーダー (20415186)
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Keywords | 生物制御 / Tacit learning / 電動義手 / 行動創発 |
Research Abstract |
生物の未知環境への適応能力は,現在のロボット制御技術に欠けている最も重要な能力の一つを補完するものである.本研究では,我々がこれまでに提案した生物の制御原理に基づく学習法であるTacit learningを用いて環境に適応的は手の動きを創発することを目標としている.Tacit learningとは,生得的な反射動作と本能的な動作を基に,環境との相互作用により発生するシグナルを制御器内部に蓄積することで行動を修正し,より環境に適応的な動作を創発させる学習法である. 1年目の研究において,複合制御により手動作の獲得の基礎的概念を確立するため,生物の持つ反射行動の意義とそれに伴う環境情報の取得,取得情報を利用した行動の創発の関連性を,論理的に記述することを試みた.2年目は把持力に応じてその把持力を発生するのに適応的な姿勢を,実際の行動を通じて創発可能であることを示した.本年度は,これまでの成果を電動上腕義手の制御に応用するため,現状の電動義手の問題点や実利用に必要な課題を洗い出し,Tacit learningに基づく3DOF電動義手の開発を行った.あわせて健常者の手首の動きを拘束する装具も作成し,健常者による実験において,把持動作における有効な義手制御を創発可能であることが示された.さらに,医療現場の医師や装具メーカの方々と議論を重ねることで,臨床実験に耐えるだけの安全性を備えていることが確認され,臨床実験の一歩手前の状況まで進んでいる.今後は実際の患者に応用し,普段の生活において発生する問題点なども考慮しながら開発を進めていく必要がある.
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