2009 Fiscal Year Annual Research Report
特定神経路標識する逆行性レンチウイルスベクターを用いた視床ー線条体経路の機能解明
Project/Area Number |
21700354
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
加藤 成樹 Fukushima Medical University, 医学部, 助教 (90443879)
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Keywords | 逆行性レンチウイルスベクター / 視床-線条体神経路 / 特定神経路標識 |
Research Abstract |
21年度においては、特定神経路標識を可能とする逆行性レンチウイルスベクターのエンベロープ糖タンパク質の改変を行い、さらに高い逆行輸送性を持つベクターの作製に成功した。これにより、標的とする視床一線条体神経路をこれまで以上に高効率で遺伝子標識することを可能とした。また、導入遺伝子をヒトインターロイキン2受容体αサブユニット(hIL2Rα)遺伝子に組換えたベクターを線条体に注入して、逆行性に標識された線条体へ投射する視床のニューロンに対し、細胞標的法を用いてイムノトキシン(IT)を投与した。これにより視床で標識されたニューロンを除去して視床-線条体神経路が特異的に遮断されたモデル動物を作出、これを用いて行動生理学的解析を行った。 行動実験は、両側線条体にhIL2Rαを発現するベクターおよびコントロールとしてGFPを発現するベクターを注入し、5週間生存させた後、両側視床にITおよびコントロールとしてPBSを注入した4群の動物において行った(hIL2Rα-IT(視床-線条体神経路遮断群),hIL2Rα-PBS, GFP-IT, GFP-PBS(視床-線条体神経路非遮断群))。まずは基本運動能力を調べるため、ローターロッド回転運動による協調運動、運動学習能に関わる行動解析を行ったところ、視床一線条体神経路遮断群と非遮断群との問に有意な差は認められなかった、次に、活動量測定と情動性を調べるため、オープンフィールドテストによる自発運動量およびメタンフェタミンによる薬物誘導運動量の行動解析を行ったが、これも両群に差は見られなかった。これにより視床-線条体路は基本的な運動能には影響を与えないことを明らかとした。
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