2011 Fiscal Year Annual Research Report
特定神経路標識する逆行性レンチウイルスベクターを用いた視床-線条体経路の機能解明
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21700354
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
加藤 成樹 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (90443879)
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Keywords | 逆行性レンチウイルスベクター / 視床-線条体神経路 / 特定神経路標識 / 学習 / 記憶 |
Research Abstract |
23年度においては、21、22年度に行った逆行性レンチウイルスベクターのエンベロープ糖タンパク質の改変により、高い逆行輸送性を持つウイルスベクターを取得して、これを用いて視床-線条体神経路のみを除去したモデル動物を得た。この動物で学習行動課題を行い、視床-線条体神経路の行動生理学的意義の解析を行った。 実験は、両側線条体にヒトインターロイキン2受容体αサブユニット(hiL2Rα)を発現するベクターおよびコントロールとしてGFPを発現するベクターを注入し、5週間生存させた後、両側視床にイムノトキシン(IT)およびコントロールとしてPBSを注入した4群の動物において行った(hIL2Rα-IT(視床-線条体神経路遮断群),hIL2Rα-PBS,GFP-IT,GFP-PBS(視床-線条体神経路非遮断群))。行動課題は、レバー押しオペラント行動における視覚性2弁別学習を行った。 22年度の成果として、視床-線条体路を除去した動物は学習獲得が低下し、正反応時間、無反応率が上昇する結果を得た。このことは、視床-線条体路が学習に大きく関与する神経路であることを示唆した。 そこで23年度は、はじめに弁別学習を獲得させておき、その後視床-線条体路除去することで獲得した学習の保持への影響を調べた。その結果、視床-線条体路を除去することでそれまで獲得した学習の正答率が著しく低下することを見出した。その一方で、正反応時間、無反応率には変化が見られなかったことから、視床-線条体路は一度学習獲得すると、正反応時間および無反応率にかかわる行動を司る機能は別の経路に補償されることを示唆した。
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Research Products
(6 results)