2009 Fiscal Year Annual Research Report
レンチウイルスベクターを用いた成体時における嗅球神経回路形成機構の解析
Project/Area Number |
21700355
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
吉原 誠一 Nara Medical University, 医学部, 助教 (90360669)
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Keywords | 発生・分化 / 嗅球 / 介在神経細胞 / 神経新生 |
Research Abstract |
嗅球介在ニューロンは胎生期のみならず成体期においても常に新生され続け、新たな神経回路を形成し続けるというユニークな特徴を持っている。この嗅球における神経回路形成は、神経活動によって回路の精密化が行われていると考えられているが、その機構は明らかにされていない。本研究では、嗅球介在ニューロンにおいて、神経活動依存的に発現が誘導される二つの遺伝子、5T4(膜蛋白質)とNPAS4(転写因子)の機能を解明することを目的としている。 新生仔マウスの脳室に、GFP遺伝子を搭載したレンチウイルスを感染させることにより新生嗅球介在ニューロンを可視化した。また、神経活動依存的に発現が誘導される5T4とNPAS4遺伝子を、レンチウイルスを用いて新生嗅球介在ニューロンで過剰発現させ、その形態を解析した。 解析の結果、片鼻を閉じて神経活動を低下させた側の嗅球では、新生介在ニューロンの樹状突起の伸展とスパイン密度が、鼻の空いた側の嗅球に比べて低下していた。このことは、嗅球介在ニューロンの樹状突起の発達とスパイン形成には神経活動が必要であることを示している。また、5T4とNPAS4を嗅球介在ニューロンで過剰発現させると、樹状突起の枝別れ、または、スパイン形成がそれぞれ促進された。従って、5T4とNPAS4遺伝子は、嗅球介在ニューロンの神経活動依存的な発達を制御していると考えられる。
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Research Products
(3 results)