2009 Fiscal Year Annual Research Report
移動終了後の大脳皮質ニューロンにおける分化・成熟過程の解明
Project/Area Number |
21700356
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
大石 康二 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (80420818)
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Keywords | 大脳皮質 / 層構造 / 発生・分化 |
Research Abstract |
大脳皮質を構成するニューロンは神経系前駆細胞から誕生するが、現在まで層特異的なニューロンの分化は前駆細胞が最終分裂する時期に決定されるとの考えが広く受け入れられている。しかしながら我々は近年、大脳皮質第IV層への正常な分化が前駆細胞の時期ではなく、ニューロンが移動を終了した後に決定されることを強く示唆する結果を得ている。そこで本研究では、皮質第IV層のニューロンが、ニューロンの移動終了後、どのような機構によって皮質第IV層へ分化決定されるのかを明らかにすることを目的とし、以下に示す点について検討を行った。 1.視床皮質投射線維の欠損マウスの解析 皮質第IV層のニューロンは視床からの投射を受ける細胞集団であるため、視床皮質投射線維と皮質第IV層ニューロンの分化について検討を行った。視床皮質投射線維の欠損・低形成が報告されているOLPC遺伝子欠損マウス、Netrinl遺伝子欠損マウスの解析を行ったところ、皮質第IV層ニューロンのマーカー分子であるRORbetaの発現が低下するという知見を得た。従って、視床皮質投射線維が皮質第IV層ニューロンの分化・成熟を制御する可能性が示唆された。 2.視床との共培養による皮質第IV層形成の再現 視床皮質投射線維による第IV層の分化誘導を直接に明らかにするため、in vitroの培養系を用いて検討を行った。視床と大脳皮質の共培養によって、視床から皮質への軸索の投射が再現されることが報告されており、この系を用いて検討を行った。その結果、視床と大脳皮質の共培養において、皮質第IV層のマーカー分子の発現変化は観察されなかった。大脳皮質の培養片に侵入する視床の軸索量を調べたところ、少数の軸索しか観察されなかった。従って、視床の軸索量の少なさに起因してその効果が見えなかった可能性が考えられ、今後培養条件の改善を行う予定である。
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Research Products
(6 results)