2011 Fiscal Year Annual Research Report
COUP-TFI及びIIを標的とした神経幹細胞の時間特異性制御機構の解明
Project/Area Number |
21700357
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
金田 勇人 独立行政法人理化学研究所, 免疫転写制御研究グループ, 上級研究員 (40528212)
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Keywords | 神経幹細胞 / 神経発生 / グリア / 再生 / competence |
Research Abstract |
先行研究において新しくGl iogenic competence(グリア誘導シグナル応答能)の獲得という段階があり、神経新生からグリア新生へのスイッチを含む神経幹細胞の発生依存的な分化能の変化にCOUP-TFI/IIが必須であるということを明らかにした(Naka H, Nature Neuroscience, 2008)。しかし、このGliogenic competence獲得の分子メカニズムは全く分かっていなかった。 前年度までにマイクロアレイ解析で得られた候補遺伝子群をスクリーニングして下流遺伝子の同定に成功していた。今年度はこの同定した下流遺伝子の機能解析を行い、competence変化の分子メカニズムの解明を試みた。一連の実験からこの遺伝子がNeurogenic competenceの分子実体であり、その抑制によってGliogenic competenceが獲得されることが明らかとなった。特筆すべきは、この遺伝子を強制発現させることによって発生段階が進んでGliogenicとなった神経幹細胞でさえNeurogenic competenceを回復させ、高効率に神経分化を誘導できるようにすることができたことである。また、この遺伝子の発現制御による神経幹細胞の分化能制御において、GFAPのpromoter領域のDNAメチル化頻度に有意な変化が見られなかったことも興味深い。 3年間の研究を通して、COUP-TFs下流遺伝子の同定とその機能解析から神経幹細胞のcompetence変化による神経新生からグリア新生へのスイッチの主要な分子メカニズムを解明することができた。さらに、その制御によって神経幹細胞の分化ではなく分化能をbidirectionalに制御することができるまでになり、ドラッグスクリーニングなどを想定した神経幹細胞の応用的利用の点でも重要な成果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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