2009 Fiscal Year Annual Research Report
RNA結合蛋白質Musashi1が介するmiRNA翻訳制御
Project/Area Number |
21700358
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
河原 裕憲 Keio University, 医学部, 助教 (00424177)
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Keywords | 脳・神経 / 発現制御 / miRNA / 幹細胞 |
Research Abstract |
神経系の発生過程において神経幹細胞・神経前駆細胞に顕著に発現しているRNA結合蛋白質としてMsi1蛋白質(Musashi1)がある。Msi1は細胞質以外にmiRNA(microRNA)の反応の「場」であり、mRNAの翻訳抑制に関わるとされるP-bodyや、ストレス負荷に対してSG(Stree Granule)への局在化を示した。そこで、Msi1の複合体解析をさらに調べた所、ES細胞由来の初期神経発生時においてヒトiPS細胞誘導因子Lin-28とMsi1が相互作用し同一複合体に存在が確認した。Msi1の神経幹細胞や組織幹細胞の発現は報告されていたが、「ES細胞→EB細胞(種々の幹細胞が存在)」間のMsi1の作用は知られていなかった。そこで、神経誘導因子レチノイン酸によるEB細胞形成(初期神経誘導)時のMsi1の発現を解析した所、Msi1の一過的発現上昇とLin28の発現減少を確認した。しかし、Lin28はlet-7 family miRNAの生合成を強力に抑制し、EB Day7での発現は減少するにも関わらず、miRNAの発現は解除されないままであった。これらの発現解析の関係を基に、let-7 familyの一つであるpri-miR98を用いてmicroprocessor assayを行った所、Msi1はLin-28と複合体を形成した場合に、pre-miR98の形成を抑制し結果的にLini-28の機能を促進することが分かった。また、初期神経分化過程でMsilをノックダウンした場合、Lin28の核内存在比率が減少し細胞質存在比率が増加した。これはLin28が核内で起こるCropping段階を効率的に阻害できる。即ち、Msi1はLin28と複合体を形成することでLin28を積極的に核内に誘導し、Lin28が効率的に機能を発揮できる重要な作用を示すことを意味した。
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