2009 Fiscal Year Annual Research Report
有髄神経軸索内ミトコンドリアの機能制御における髄鞘の役割
Project/Area Number |
21700361
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
石橋 智子 Tokyo University of Pharmacy and Life Science, 薬学部, 助教 (50453808)
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Keywords | ミエリン / 軸索 / ミトコンドリア / パラノーダルジャンクション / 軸索輸送 / 小脳 |
Research Abstract |
軸索周囲を取り囲むミエリンが,軸索内小器官および軸索骨格の機能をどのように調節し,軸索ホメオスタシスに関与しているのかを明らかにする目的で,CST欠損マウス座骨神経および小脳を用いて研究を行った.CST欠損マウスはミエリンと軸索がパラノード部位で形成するパラノーダルaxo-glialジャンクション(PJ)が形成されない.このマウスの座骨神経ランビエ絞輪部に異常に拡大したミトコンドリアが認められることを以前報告している.ミトコンドリア等の膜小器官は軸索内でATP依存性モータータンパク質と結合し微小管に沿って輸送される.微小管のプラス端に向かう順行性輸送はキネシンが、マイナス端に向かう逆行性輸送はダイニンが担っている.PJ崩壊により軸索輸送になんらかの変化を来たし,ランビエ絞輪部にミトコンドリアを集積させている可能性を考え,軸索輸送に関与しているモータータンパク質の変化を調べた.その結果,CST欠損マウス座骨神経では順行性,逆行性輸送ともにモータータンパク質量が有意に減少していた.またミトコンドリア特異的モータータンパク質であるKIF1Bαがランビエ絞輪部に集積していること,微小管結合タンパク質Tauの軸索内局在に変化が生じていることを明らかにした. 一方,CST欠損マウス小脳プルキンエ細胞軸索に神経症状に伴い異常膨らみが高頻度に出現し,内部にリン酸化ニューロフィラメントやアミロイド前駆体タンパク質の蓄積が認められた.この軸索の腫脹はコンパクトミエリンに覆われたインターノード部位に存在していた.今年度の研究の結果,ミエリンが軸索機能や輸送を調節する上でPJがその中心的役割を果たしていること,またその役割は末梢神経系と中枢神経系で異なり,PJが形成されかつ維持され続けることが正常な軸索ホメオスタシスに必須であることが明らかとなった.H22年度は培養系を用いてPJの重要性をさらに明らかにして行く予定である.
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Research Products
(2 results)