2011 Fiscal Year Annual Research Report
有髄神経軸索内ミトコンドリアの機能制御における髄鞘の役割
Project/Area Number |
21700361
|
Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
石橋 智子 東京薬科大学, 薬学部, 助教 (50453808)
|
Keywords | ミエリン / 軸索 / ミトコンドリア / パラノーダルジャンクション / 小脳 / IP3R1 |
Research Abstract |
軸索周囲を取り囲む髄鞘が、有髄神経軸索の機能をどのように調節し軸索ホメオスタシスに関与しているのか明らかにしたいと考え研究を行った。特に、ミエリンと軸索がパラノード部位で形成するパラノーダルaxo-glialジャンクション(PJ)に焦点を当てている。PJはオリゴデンドロサイトの突起が直接軸索表面に接することにより、軸索表面の分子局在を変化させている。平成21年度は、このPJが形成されないマウス、CST欠損マウスの小脳プルキンエ細胞軸索に異常な膨らみがあることを報告している。平成23年度は電子顕微鏡で詳細に解析を行った結果、生後6週齢ですでにプルキンエ細胞軸索に細胞内小器官(ミトコンドリアや膜状構造、ER)の局所集積が認められた。さらに40週齢以上になると、軸索変性が顕著に認められた。この変化はパラノーダルジャンクション部分ではなくコンパクトミエリンに覆われているインターノード部位で観察された。軸索腫脹部におけるカルシウム濃度の局所変化が起こっている可能性を考え、免疫組織学的解析により1型IP3R(IP3R1)の局在を調べた結果、正常プルキンエ細胞軸索ではIP3R1は軸索全長にほぼ均一に染色されるのに対して、CST欠損マウスでは、腫脹部に限局的にIP3R1の集積が認められた。局所集積は生後12日にはすでに認められ、ニューロフィラメントや細胞内小器官の集積に先行していた。また、この変化はコンパクトミエリンが形成されていない生後7日では認められなかった。したがって、CST欠損マウスプルキンエ細胞軸索では、PJが形成されないため軸索内カルシウム濃度の不均衡が生じている可能性が示唆された。つまりPJ形成は軸索内カルシウム濃度調節にも重要であることが明らかとなった。脳の他の部位では同様の変化が認められなかったことから、プルキンエ細胞のカルシウム感受性が高いことも示唆された。
|
Research Products
(3 results)