2009 Fiscal Year Annual Research Report
血管ニッチの有無による脳傷害誘導性神経幹細胞の移植効果の検討
Project/Area Number |
21700363
|
Research Institution | Hyogo College of Medicine |
Principal Investigator |
中込 隆之 Hyogo College of Medicine, 医学部, 助教 (80434950)
|
Keywords | 神経再生 / 神経幹細胞 / 脳梗塞 / 血管ニッチ |
Research Abstract |
私たちは、以前より、脳傷害時に生体内で誘導される自己神経幹細胞の存在に着目し、その単離を試みてきた。その結果、脳梗塞後の成体マウスの大脳皮質(脳梗塞巣)より、ニューロン、アストロサイト、オリゴデンドロサイトの三系統に分化する能力を有する内因性神経幹細胞[脳傷害誘導性神経幹細胞;injury-induced neural stem cell (iNSC)]を単離することに成功した(Eur J Neurosci, 2009)。 本研究では、この神経幹細胞(iNsc)を脳梗塞後のマウスに移植し、その有効性の検討を目指す。さらに、近年、幹細胞の生着、増殖にはniche(ニッチ)の存在が重要であることがわかってきており、血管内皮細胞[endothelial cell (EC)]が神経幹細胞のニッチとして、その生着、増殖にとって重要な役割をはたしていることが明らかとなりつつある。そこで、本研究では、神経幹細胞の移植効果の向上を期待し、iNscの単独移植にとどまらず、ECも同時に移植(共移植)し、その移植効果の有効性の検討も目指す。そこで、iNsc及びiNscとEcの共移植に先立ち、EcがiNscの増殖、神経分化にどのような影響を与えるか、共培養系を用いた実験により検討した。 その結果、iNscを単独培養した群(iNsc群)と比較し、iNscをEcと共培養した群(iNsc/Ec群)では神経幹細胞のマーカーであるnestin陽性細胞数が約4倍と増加し、BrdU陽性増殖細胞数も約6倍と有意に高値を呈した。また、これらの細胞はTuj-1, GFAP, 04陽性神経細胞にも分化し、iNsc/Ec群ではTuj-1陽性神経細胞数、及びその割合とも、iNsc群と比較し、有意に高値を呈した。 以上の結果より、in vitroにおいて、ECはiNSCの増殖、ニューロン分化を促進することが、明らかとなり、ECはiNSCを介した神経再生機転に重要な役割を持つことが示唆された(Stem Cells, 2009)。
|
Research Products
(6 results)