2010 Fiscal Year Annual Research Report
透明なゼブラフィッシュ脳を用いた右脳・左脳神経活動の発達様式
Project/Area Number |
21700370
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
相澤 秀紀 独立行政法人理化学研究所, 発生遺伝子制御研究チーム, 副チームリーダー (80391837)
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Keywords | ゼブラフィッシュ / 左右非対称 / 手綱 / 電気穿孔法 / GFP / カルシウム / 光学的測定 / 共焦点顕微鏡 |
Research Abstract |
平成22年度に行った研究は、左右脳半球間で異なった手綱核神経回路出力路の可視化およびこれまでに得た神経活動データの数値解析である。手綱-脚間核路は、魚からヒトまで高度に保存された神経回路であり、我々はゼブラフィッシュ成魚の手綱-脚間核間の神経結合に著明な左右非対称性がみられることを報告してきた。即ち、左側でより大きく発達した手綱核外側亜核が背側脚間核へと投射するのに対して、右側でより大きく発達した手綱核内側亜核は腹側脚間核へと投射している。しかし、この非対称な回路の出力路を形成する脚間核が、脳のどの領域を介して行動制御に至るかについては全く不明であった。そこで、微小電極を用いた局所イオン泳動法により、脚間核の背側及び腹側亜核へと軸索標識物質を部位特異的に導入し、脚間核亜領域からの出力路を標識した。その結果、背側及び腹側脚間核はそれぞれ主に恐怖反応制御に関わるとされる中心灰白質と適応行動制御に関わる縫線核へと連絡していた。本研究は、未解明であった左右非対称な神経回路と行動制御を結ぶ脳領域を同定したものであり、以前の研究結果とともにNature Neuroscience誌に発表した。 一方、これまでに得たカルシウム指示薬によるゼブラフィッシュ手綱神経細胞活動データについて、データ解析ソフトMATLABにより周波数解析や発火頻度を計算し、上記結果より示された左右非対称な神経回路の神経活動における左右差を解析するプログラムを開発した。
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