2009 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子NF-Yの中枢神経系における生理的・病理的役割の解明
Project/Area Number |
21700373
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
山中 智行 The Institute of Physical and Chemical Research, 構造神経病理研究チーム, 基礎科学特別研究員 (00381575)
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Keywords | 転写因子 / NF-Y / 中枢神経 / ノックアウトマウス / 神経分化・変性 |
Research Abstract |
NF-Yは、NF-YA、NF-YB、NF-YCの3つのサブユニットから構成される転写因子であり、マウス胚の初期発生や、筋細胞や造血細胞の分化に働くことが明らかとされつつある。しかし、中枢神経系の発達や機能におけるNF-Yの役割は不明であった。最近、我々の研究から、神経変性疾患であるハンチントン病において、NF-Yがハンチントン病原因タンパク質の標的因子であることが明らかとされ、神経細胞の機能維持や変性におけるNF-Yの重要性が考えられた。本研究の目的は、NF-YAのコンディショナルノックアウトを用いた解析により、NF-Yの中枢神経細胞の分化、機能における生理的機能を解明すると共に、NF-Yの神経機能障害や変性といった神経病態における役割を明らかとすることである。 本年度は、NF-YAのコンディショナルノックアウトマウスを用いて、分化-成熟過程、分化後の中枢神経細胞にcreを発現するトランスジェニックマウス(それぞれ、synapsinI-cre、camk2a-cre)と交配させ、神経細胞の分化状態特異的NF-Yノックアウトマウスを作製した。その結果、synapsinI-creと交配したノックアウトマウスは、ほぼメンデル則に従い生まれてくるものの、生後の体重増加がほとんど見られず、生後2~3週間で死亡することが見出された。解剖したところ、胃中の母乳量がコントロールマウスよりも少ないことが見出され、母乳の摂取障害が生育阻害に関連していると考えられる。一方、脳形態には大きな異常は観察されていない、現在、生化学的、組織学的解析を詳細に行い、発育不全の原因を探索中である。一方、camk2a-creと交配したノックアウトマウスは、初期の成育には影響なく、離乳後の生存も確認されている。現在、同マウスの経過観察を行っている。
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Research Products
(7 results)