2010 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子NF-Yの中枢神経系における生理的・病理的役割の解明
Project/Area Number |
21700373
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
山中 智行 独立行政法人理化学研究所, 構造神経病理研究チーム, 研究員 (00381575)
|
Keywords | 転写因子 / 神経細胞 / NF-Y / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
NF-Yは、NF-YA、NF-YB、NF-YCの3つのサブユニットから構成される転写因子であり、プロモーター領域のCCAATモチーフに結合する。近年の研究から、NF-Yが、マウス胚の初期発生や、筋細胞や造血細胞の分化に働くことが明らかとされつつある。しかし、中枢神経系の発達や機能におけるNF-Yの役割は不明であった。最近、我々は、神経変性疾患であるハンチントン病において、NF-Yがハンチントン病原因タンパク質の標的因子であることを明らかとし、神経細胞の機能維持や変性におけるNF-Yの重要性が考えられる。 本研究では、NF-Yの中枢神経細胞の分化、機能における生理的機能を解明することを目的とし、本年度はNF-YAのコンディショナルノックアウトの作製、解析を試みた。 まず、分化-成熟過程の神経細胞にcreを発現するsynapsinI-creトランスジェニックマウスを用い、NF-YAのコンディショナルノックアウトマウスを作製した。ノックアウトマウスは、生まれてくるものの、体重増加が観察されず、離乳前にすべて死滅してしまった。生存中のマウスを解剖したところ、脳形態や重量に大きな変化は観察されないものの、胃中のミルクの量がコントロールより少なく、なんらかの理由で母乳を摂取できていないと考えられる。一方、分化後の中枢神経細胞にcreを発現するcamk2a-creマウスを用いて、NF-YAのコンディショナルノックアウトマウスを作製したところ、離乳後も生存が確認されており、少なくとも胎生期、新生児期には影響ないと考えられる。ただし、生後3ヶ月ごろから、体重減少が観察されつつある。以上のことから、神経系におけるNF-Yの機能阻害は、体重の増加抑制や減少を引き起こすことが示唆された。
|
Research Products
(4 results)