2009 Fiscal Year Annual Research Report
深部脳刺激による内在性神経前駆細胞の分化制御と神経再生誘導療法の開発
Project/Area Number |
21700379
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
杉森 道也 University of Toyama, 大学院・医学薬学研究部(医学), 助教 (20464026)
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Keywords | 深部脳刺激 / 神経前駆細胞 / 神経再生 / 神経幹細胞 |
Research Abstract |
本応募研究では、深部脳刺激法(deep brain stimulation : DBS)を用い、刺激の部位、強度、持続時間、頻度等を調節することにより、神経前駆細胞の領域特異的活性化・分化段階の制御、さらには新生神経細胞の誘導とその量の制御を試みる。DBSによる神経前駆細胞の分化制御を試みるに際し、平成21年度は、海馬貫通路の高頻度反復刺激(HFS)をDBSの刺激条件とし、また、神経前駆細胞分化を解析するための脳領域として海馬に焦点を絞った。貫通路は海馬歯状回に直接投射するので、直接海馬歯状回の神経活動を制御し得る。HFSにより、歯状回において電場電位の上昇を認めた。また繰り返し条件を変化させる事で、電場電位上昇の期間の延長をさせた。このように海馬貫通路HFSを用いて、海馬歯状回の神経活動を制御した。続いて、Thymidine analogueであるBrdUを用いて、神経前駆細胞の同定を行ない、DBSの効果を検討した。HFS後の1、2、7日後のいずれかにBrdUを投与し翌日還流固定する事で、海馬歯状回の主に増殖性の内在性神経前駆細胞を検出し定量した。HFS側でBrdU陽性細胞は増加していた。このBrdU陽性細胞の増加は、「神経幹細胞の活性化」と「神経前駆細胞のクローナルな細胞数の拡大」のどちらかまたは両方同時が、HFSにより促進されたと考えられた。それらを区別するために、BrdU陽性細胞の局在するコロニーの数(神経幹細胞の活性化を反映する)と1コロニーあたりのBrdU陽性細胞数(クローナルな神経前駆細胞の拡大を反映する)を、HFS側と非HFS側とで定量した。HFS側ではコロニー数が増加しており、神経幹細胞の活性化が促進された事を強く示唆した。一方で、コロニーあたりの細胞数は変化せず、DBSによる神経前駆細胞の増加は、主に神経幹細胞の活性化により達成されたと考えられた。このように、DBSは神経前駆細胞の増殖を促進するが、それは神経幹細胞の活性化を介していると考えられた。
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