2010 Fiscal Year Annual Research Report
深部脳刺激による内在性神経前駆細胞の分化制御と神経再生誘導療法の開発
Project/Area Number |
21700379
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
杉森 道也 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(医学), 助教 (20464026)
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Keywords | 深部脳刺激 / 神経前駆細胞 / 神経再生 / 神経幹細胞 |
Research Abstract |
1、研究実施の概要:本研究は、神経活動を電気生理学的に制御する深部脳刺激法(deep brain stimulation : DBS)を用い、刺激の部位、強度、持続時間、頻度等を調節することにより、海馬歯状回における神経前駆細胞の領域特異的活性化・分化段階の制御、さらには新生神経細胞の誘導とその量の制御につなげるための基盤となる研究である。本研究を基盤として、うつ病などの精神・神経疾患に対する、内在性神経前駆細胞を活用した神経再生誘導療法を目指す。成体に内在する神経前駆細胞を利用した神経再生誘導療法の開発において、分化に関わる生物学的メカニズムと新生神経細胞の機能を制御し活用する手法の確立を進めることが極めて重要であると考え、本研究においてはDBSによる神経前駆細胞の分化制御を試みた。 2、研究構想と研究内容:本研究を通じて、海馬貫通路DBSが海馬歯状回に内在する神経幹細胞の活性化と増殖を促進している事を見出した。それは、DBSによる細胞分化制御メカニズムの一つとして、初期ステップである神経幹細胞の活性化制御が極めて重要である事を示唆している。このように、DBSは神内在性神経前駆細胞の分化を制御し得る方法の一つであると考えられた。現在、DBSの強さ・刺激により生じる影響の期間とタイミングと細胞分化との関係などを明らかにしつつあり、今後、DBSによる内在性神経前駆細胞を活用した神経再生に最適な条件を見出したいと考えている。本研究の基本的方針は、神経活動の量的変化・神経細胞分化のそれぞれのステップに関わる量の制御・具体的な再生スケジュールなどを明らかにする事を通じて、現象論にとどまらない臨床応用へのアプローチを行うことである。そのような観点から本研究を継続したいと考えている。
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