2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21700387
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
川崎 能彦 国立遺伝学研究所, 総合遺伝研究系, 助教 (00322751)
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Keywords | 神経回路 / 軸索ガイダンス / セマフォリンシグナル |
Research Abstract |
これまでの研究から、嗅球から終脳への軸索投射には、軸索ガイダンス分子として知られるセマフォリンが複数関与しており、それぞれのセマフォリンが異なる役割を担うことや、異なるセマフォリンのシグナルがクロストークすることを示唆する予備的な結果を得ていた。そこで本研究では、嗅球の軸索投射をモデルとして、複数のセマフォリンシグナルが協調的に軸索投射を制御する仕組みについて明らかにすることを目指した。21・22年度では、培養アッセイ系を用いたin vitroの研究と、遺伝子破壊マウスを用いたin vivoの研究によって、複数のセマフォリンシグナルが実際に嗅球軸索投射の制御に強く関わっていることを明らかにした。また詳細な解析により、これらセマフォリンシグナルに関わる受容体膜分子の中には、嗅球軸索投射を細胞自立的に制御する分子と、細胞非自立的に制御する分子が存在することも明らかとした。23年度はこれらのシグナルに関わる遺伝子について2重変異体を用いた研究を展開することにより、嗅球軸索の投射における複数のセマフォリンシグナルの協調的な作用について解析を進めた。その結果、これらの軸索ガイダンス分子は確かに相互作用していること、それらの相互作用は嗅球を構成する神経細胞のサブグループごとに異なる様式で生じていることを明らかとし、さらに、それら作用機構の違いが最終的な嗅球軸索の投射パターンに反映されていることを見いだすことができた。これらの成果は、神経回路のガイダンス機構は、個々の軸索ガイダンスシグナルの効果が単純に集まっただけではなく、軸索ガイダンスシグナル間の相互作用により、ダイナミックなネットワークとして機能していることを示唆している。
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Research Products
(4 results)