2009 Fiscal Year Annual Research Report
選択的オートファジーによる不溶性タンパク質凝集体の分解機構
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21700398
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
松本 弦 The Institute of Physical and Chemical Research, 構造神経病理研究チーム, 研究員 (50415303)
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Keywords | オートファジー / p62 / SQSTM1 / ユビキチン / アグリソーム |
Research Abstract |
タンパク質の分解は主としてプロテアソームが行っているが、老化や外因性または内因性のストレス等により、プロテアソームの機能が低下してしまうと、本来分解されるべき変性タンパク質等が分解されずに細胞内に蓄積してしまう。変性タンパク質は、異常なタンパク質間相互作用をすることで、細胞のタンパク質の恒常性を乱してしまう。そのため、細胞はアグリソームと呼ばれる細胞内構造を作り、その中に変性タンパク質を隔離する。本研究では、アグリソームのなかに隔離されたタンパク質が、どのようにして最終的に分解処理されているのかについて、研究を行った。我々は選択的オートファジーのアダプター因子であるp62/SQSTM1がプロテアソーム阻害時にアグリソームの構成因子として機能していることを見いだした。p62はアグリソーム内でユビキチン化タンパク質を結合し、不溶性の凝集体となることで、ユビキチン化タンパク質を細胞質内から隔離していると考えられる。さらに、我々はこのp62タンパク質がアグリソームに蓄えられているタンパク質をオートファジーにより分解しているのではないかと考え、実験を行った。可逆性のプロテアソーム阻害剤で細胞を24時間処理し、アグリソームの形成を誘導した後、プロテアソーム阻害剤を除去した後のp62とユビキチン化タンパク質の挙動をモニターした。その結果、プロテアソームの活性回復に伴い、不溶性p62とユビキチン化タンパク質は分解・除去された。この分解・除去の過程はオートファジーの阻害剤で阻害されることから、アグリソームに蓄えられたユビキチン化タンパク質はp62ともに不溶性の状態のまま、オートファゴソームヘターゲティングされ、リソソームで分解されていると考えられる。
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