2010 Fiscal Year Annual Research Report
選択的オートファジーによる不溶性タンパク質凝集体の分解機構
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21700398
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
松本 弦 独立行政法人理化学研究所, 構造神経病理研究チーム, 研究員 (50415303)
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Keywords | オートファジー / p62 / SQSTM1 / ユビキチン / シクエストソーム / ポリユビキチン / オートファゴソーム |
Research Abstract |
タンパク質の分解は主としてプロテアソームが行っているが、老化や外因性または内因性のストレス等により、プロテアソームの機能が低下してしまうと、本来分解されるべき変性タンパク質等が分解されずに細胞内に蓄積してしまう。変性タンパク質は、異常なタンパク質間相互作用をすることで細胞のタンパク質の恒常性を乱すため、細胞毒性を持つ。本研究では、選択的オートファジーのアダプター因子であるp62/SQSTM1がリン酸化されることを見いだし、その生物学的意義について詳細な解析を行った。その結果、p62タンパク質は、ポリユビキチン鎖と結合するUBAドメインをもつが、そのUBAドメインへのリン酸化によりポリユビキチン鎖との親和性が増大することがわかった。p62は、N末端部分のPB1ドメインにより多量体を形成し、それによりp62は細胞内ではシクエストソームと呼ばれる構造体を形成することが知られている。このシクエストソームは、p62により構成され、膜構造をもたない。我々は、このシクエストソームを隔離膜が囲むことによりオートファゴソームとなり、リソソームで分解されるという過程をたどることを見いだした。また、リン酸化されたp62はポリユビキチン鎖との結合によりシクエストソーム内に安定に存在することができるため、ポリユビキチン鎖をもつタンパク質を安定にシクエストソーム内に隔離し、オートファゴソームになりやすくしていると考えられる。つまり、p62はリン酸化状態になることで、ポリユビキチン化タンパク質を選択的にオートファジーで分解することができるようになると考えられる。
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