2009 Fiscal Year Annual Research Report
新規シヌクレインモデルマウスを用いた神経変性機序の解明及び治療・予防法の開発
Project/Area Number |
21700399
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
藤田 雅代 Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research, 東京都神経科学総合研究所, 主席研究員 (90415539)
|
Keywords | シヌクレイン / シヌクレイノパチー / 神経変性 / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
21年度は、パーキンソン病やレビー小体型認知症など、シヌクレイノパチーと総称される疾患の新規モデルマウスを確立するため、αシヌクレイン(syn)と、家族性レビー小体型認知症家系で発見された変異型βsyn(P123H)を、ともに過剰発現させたダブルトランスジェニック(tg)マウスを作成し、その表現型についての解析を重点的に行った。 (結果) ダブルtgマウスは、脳のあらゆる部位でsynの過剰発現がみられ、とくに皮質や海馬の錐体細胞体にsynの蓄積が認められた。生化学的には、synの可溶性の低下が認められ、synが病的に作用していることが示唆された。ロタロッドテストにて平衡運動能力を解析したところ、ダブルtgマウスでは、野生型マウス、αsyn単独tgマウス、βsyn(P123H)単独tgマウスに比べ、著しい低下が認められた。さらに、ダブルtgマウスの線条体において、ドーパミン濃度の顕著な低下が認められた。 一方で、ダブルtgマウスの大脳皮質および海馬CA3領域の錐体細胞において、fluoro jade陽性の変性神経が見出された。変性神経は、αsynに陽性を示していた。これらの細胞は、TUNEL陰性で、電顕による観察からもアポトーシスの所見は見られなかった。 (意義、重要性) 上記の結果から、今回開発したマウスモデルは、ドーパミン減少や神経細胞の変性など、シヌクレイノパチーの特徴を備えたモデルとして、病態発症機序や治療法開発に役立てられると考えられる。次年度以降は、上記の知見を踏まえ、さらに詳細な機序の解明に取り組む予定である。
|