2009 Fiscal Year Annual Research Report
水痘帯状疱疹ウイルスタンパクIE62に対する免疫応答が起こす痛覚増強機序の解明
Project/Area Number |
21700400
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
高崎 一朗 University of Toyama, 生命科学先端研究センター, 助教 (00397176)
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Keywords | 帯状庖疹 / 帯状庖疹後神経痛 / IE62 / 脳由来神経栄養因子 / アロディニア |
Research Abstract |
帯状庖疹痛および帯状庖疹後神経痛は難治性の神経因性疼痛疾患である。疹痛のメカニズムは未だ不明であり,また既存の鎮痛薬に抵抗性を示すため,新規鎮痛薬の開発が急務となっている。研究代表者はこれまでの研究で,当該疾患の原因ウイルスである水痘・帯状庖疹ウイルス(VZV)のタンパクIE62に対する抗体が,BDNFの活性を上昇させ,末梢神経損傷による神経因性塔痛モデルマウスの疼痛反応を増強することを見出した。本研究では,帯状庖疹痛と帯状庖疹後神経痛のメカニズムの解明を目指し,抗IE62抗体による痛覚増強メカニズムに関して解析を行なった。 研究代表者がすでに確立している単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)感染による,マウス帯状庖疹痛を抗IE62抗体が増強するかどうか検討したところ,抗IE62抗体投与群では,コントロールとして用いたNormal IgG投与群と比較して,疼痛反応の増強効果が見られた。HSV-1感染マウスは,ヒト帯状庖疹様の皮膚病変を発症し,皮疹が治癒しても一部のマウスにおいては疼痛反応が残存することから,帯状庖疹後神経痛のモデルマウスとして研究代表者は確立している。そこで帯状庖疹後神経痛への発症率を調べたところ,抗IE62投与群ではコントロールと比較して有意に発症率が増大していた。以上の結果から,ヒト帯状庖疹および帯状庖疹後神経痛患者において,VZVが産生するIE62タンパクに対する抗体が体内で産生され,この抗体(抗IE62抗体)が疼痛の発症に強く関与していることが示唆された。
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Research Products
(3 results)