2009 Fiscal Year Annual Research Report
ナルコレプシーにおけるモノアミン・コリン作動性神経の変化と可塑性の検討
Project/Area Number |
21700401
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
辻野 なつ子 Kanazawa University, 医学系, 助教 (40432166)
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Keywords | オレキシン / ナルコレプシー / モノアミン / 睡眠 / 神経変性疾患 / パッチクランプ / ノルアジレナリン神経 |
Research Abstract |
睡眠障害の一つである、ナルコレプシーという病気の発生機序について、ナルコレプシーのモデル動物を用いて検討した。ナルコレプシーはオレキシンと呼ばれる神経ペプチドを産生する神経細胞が無くなることが原因で発症し、睡眠と覚醒の状態を頻繁に移行し、耐え難い眠気を主徴とする疾患である。オレキシンを産生するオレキシン神経は睡眠覚醒に重要な神経細胞に投射し、その活動を調節することにより、睡眠および覚醒の維持に重要な役割を果たしている。本研究ではオレキシン神経が脱落することにより、投射先の睡眠覚醒中枢での神経活動がどのように変化するかを明らかにし、ナルコレプシーの病態発生機序を解明することを目的とした。ナルコレプシーモデルマウスとして、オレキシン神経脱落マウス(orexin-ataxin3マウス)を用いた。In vivoの細胞外記録で、orexin-ataxin3マウスにおいて、睡眠覚醒に重要な青斑核のノルアドレナリン神経活動に異常が見られた。In vitroにおいて、マウス脳スライス標本を用い、ノルアドレナリン神経活動が、オレキシン神経の脱落により変化するかどうかを検討した。ノルアドレナリン神経を膜電位固定記録し、興奮性後シナプス電流および抑制性後シナプス電流を測定した。興奮性後シナプス電流の頻度および振幅は野生型およびオレキシン神経脱落マウスで有意な差は見られなかった。一方、抑制性後シナプス電流の頻度はオレキシン神経脱落マウスが野生型に比べて有意に減少していた。振幅の差は見られなかった。以上のことから、オレキシン神経脱落により、青斑核のノルアドレナリン神経への抑制性の入力が減少しており、それにより、睡眠時のノルアドレナリン神経の発火頻度が上昇している可能性が示唆された。
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Research Products
(5 results)