2009 Fiscal Year Annual Research Report
RARの活性化はトランスサイレチンを誘導しアルツハイマー病を抑制させうるか?
Project/Area Number |
21700409
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
北岡 和義 The University of Tokushima, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (50432753)
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Keywords | アルツハイマー病 / 老化 / 学習 / ビタミンA / トランスサイレチン |
Research Abstract |
近年ビタミンAおよび甲状腺ホルモンの輸送蛋白であるトランスサイレチン(transthyretin ; TTR)が、アルツハイマー病の原因と考えられるアミロイドβを切断・分解することにより記憶・学習能の減弱などの病態を改善させることが示唆されている。申請者はアルツハイマー病モデルマウスとしても用いられているSAMP8マウスにおいて有意なTTRのmRNA発現量の低下を確認し、さらにそれがビタミンAの受容体であるレチノイン酸レセプター(retinoic acid receptor ; RAR)の活性化によって回復することを報告している。本研究は以上を踏まえ、RARの活性化がTTRを介してアルツハイマー病の病態を抑制させるかを検討した。 8カ月齢のSAMP8マウスを2群に分け、一方をRARアゴニスト摂取群、もう一方を統制群としてそれぞれRARアゴニスト添加飼料および通常飼料を2ヶ月間摂食させ、同時に購入、維持しておいた8カ月齢SAMR1マウスと合わせ、合計3群に対して八方向放射状迷路試験を行った。しかし3群の間で有意な差は認められなかった。また、これらの実験群において皮質、海馬におけるTTR、アミロイド前駆タンパク質、アミロイドβのタンパク発現量をウェスタンブロット法により検討を行ったが、学習実験と同様に有意な差は認められなかった。このことから、本研究に用いた8カ月齢のSAMP8マウスは学習機能などの中枢神経系の老化が進んでいなかったことが示唆された。 今後、現在飼育中のSAMP8マウスを12カ月齢まで飼育し、8カ月齢SAMP8マウスと同様の学習実験を行うことによりSAMP8マウスの老化およびRARアゴニスト投与による影響をさらに検討する予定である。それらが確認され次第、TTRおよびアミロイド前駆タンパク、アミロイドβの定量を行うことにより、アルツハイマー病に対するTTR発現の効果を検討する。
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