2009 Fiscal Year Annual Research Report
Semaphorin3Aシグナルの細胞内伝播機構の解明
Project/Area Number |
21700411
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
山下 直也 Yokohama City University, 医学部, 助教 (40508793)
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Keywords | セマフォリン / 神経栄養因子 / シグナル伝播 |
Research Abstract |
本研究では、軸索ガイド分子の1つであるSemaphorin3A (Sema3A)の作用点が軸索成長末端の成長円錐に限局し、樹状突起己まで伝播するという作用様式に着目し、局所からの逆行性シグナルが細胞内をどのように伝播し、その結果どのような作用を発揮するかの解明を目指している。特に本年度は、Sema3A受容体(PkexinA)と神経栄養因子受容体(Trks)の相互作用に着目し、この相互作用がSema3A刺激においてどのように変化するのか、また、すでに知られているSema3Aの樹状突起への作用において、実際にTrksが関与するかに焦点を当てて研究を行った。その結果、これまでは、強制発現系の実験系においての相互作用しか示されていなかったが、神経軸索内において、これらの分子がSema3A刺激に応じて共局在することが分かった。また、Trks側の相互作用部位として、細胞外のLRRドメインを同足した。一般に、中枢神経系の神経発生に深く関与するTrksは、TrkBとされており、末梢神経系においてはTrkAやTrkCが関与することが知られている。そこで、中枢神経系の初代培養細胞を用いて、どのTrksがSema3Aの情報伝達に関与するかを検討したところ、驚くべきことにTrkBではなく、TrkAが関与することが分かった.これまでに、TrkAは中枢神経系においてもその発現が確認されていたが、その機能は不明な点が多かった。従って本研究は、Sema3Aの情報伝播機構の解明のみならず、中枢神経系におけるTrkAの役割を解明することにも貢献できる可能性が見出された。
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