2010 Fiscal Year Annual Research Report
Semaphorin3Aシグナルの細胞内伝播機構の解明
Project/Area Number |
21700411
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
山下 直也 横浜市立大学, 医学部, 助教 (40508793)
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Keywords | セマフォリン / 神経栄養因子 / シグナル伝播 |
Research Abstract |
本研究では、軸索ガイド分子の1つであるSemaphorin3A(Sema3A)の作用点が、軸索成長末端の成長円錐に限局し、樹状突起まで伝播するという作用様式に着目し、局所からの逆行性シグナルが細胞内をどのように伝播し、その結果どのような作用を発揮するかの解明を目指している。本年度は、Sema3A受容体(PkexinA)と神経栄養因子受容体(Trks)の相互作用が、実際にSema3Aの生理作用に必須であるかを明らかにするための実験を行った。昨年に引き続き、TrkA側の相互作用部位を詳細に検討した結果、細胞外のIg1ドメインと相互作用することが分かった。そこで、TrkAとPlexinAの相互作用を阻害するため、可溶性型のIg1タンパク(sIg1)を作製し、その添加実験を行った。その結果、sIg1はSema3Aによる軸索成長円錐の退縮応答は阻害しなかったが、樹状突起における作用の一つである、AMPA型グルタミン酸受容体サブユニット・GluR2の移行促進は阻害した。この結果は、昨年までのRNAiの実験から示された、TrkAはSema3Aの軸索への作用には影響を与えないが、樹状突起への作用には関与するという結果と一致した。また、sTg1の局所添加実験を行ったところ、軸索先端にsIg1を添加すると、GluR2の樹状突起への移行を行阻害したが、細胞体・樹状突起領域に添加した場合は阻害されなかった。これらの結果かち、Sema3Aは、軸索先端でPlexinA-TrkAの相互作用を促進し、形成された複合体は細胞体方向へ運ばれ、樹状突起におけるSema3Aの生理作用に関与することが示唆された。
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