2009 Fiscal Year Annual Research Report
RNA結合蛋白質Musashi1によるlet-7機能発現阻害の分子機構解明
Project/Area Number |
21700413
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
今井 貴雄 Keio University, 医学部, 助教 (10383712)
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Keywords | 神経細胞 / RNA / miRNA / 翻訳制御 / 神経系 |
Research Abstract |
神経系幹細胞に強く発現するMusashi1は、進化的に高度に保存されたRNA結合蛋白質である。このMusashi1結合配列を全21塩基中に2個有するlet-7 miRNA(let-7a,let-7f)は、Musashi1の標的RNAと考えられ、実際に試験管内で分子間相互作用することが確かめられている。本年度は、以下に記す研究成果を得た。P19細胞において、Musashi1の発現をsiRNAによって減弱させた場合とcontrolsiRNA群のそれぞれのAgo2結合let-7 miRNAの量を定量的に比較した結果、let-7のArgonaute2(Ago2)への装填は顕著な変化が観察されなかった。この結果を踏まえ、本年度はさらに、RISC複合体の中心分子であるAgo2とMusashi1が同一複合体中に存在する局面があることに着目し、Ago2とMusashi1との相互作用部位の同定を行った。HEK293T細胞内でAgo2を、PAZドメインを含むN末端の領域、PAZドメイン・midドメインを含む領域、PIWIドメイン領域に分割した断片化蛋白質のそれぞれとMusashi1全長蛋白質を同時発現させ、免疫沈降法により相互作用を調べたところ、全ての領域がMusashi1と共沈降することが確認された。複数部位でAgo2と相互作用するGW182などの介在分子が存在することが予想された。さらに細かくAgo2の断片化を行い、Musashi1との共発現-免疫沈降解析を行ったところ、PAZドメイン領域蛋白質がMusashi1蛋白質の存在で蛋白質修飾を受けることが明らかとなった。PAZドメインはmiRNAの3'端と相互作用しているRIS(機能発現の重要部位であるので、Musashi1によるPAZドメインの蛋白質修飾は、Musashi1によるlet-7の機能発現減弱の原因となり得ると考えている。
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Research Products
(4 results)